正しく使えていますか?
2024年09月20日
フルートを購入するとついてくる「クリーニングロッド」。
その名の通り掃除用の棒なのですが、
よくよく観察すると、片側にはガーゼを通すための穴があり、反対側にはラインが刻まれています。
「線があったなんて気づかなかった」「装飾の一部?」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
(ちなみに、リコーダー用のクリーニングロッド(画像下)にはこの線はありません。)
今回はこの線がもつ大切な役割についてご紹介します!
穴がある側の使い方
小学校のリコーダーにも穴はあるので、使い方は皆さんご存知かと思いますが…
誤った使い方をして楽器の内側を傷つけてしまわないように、ここでおさらいです!
1. クリーニングロッド先端の穴にガーゼの端を5cmくらい通します。
2. ロッドの先端が露出してしまわないようにガーゼを巻き付けます。
3. 頭部管、胴部管の内側に2.をさし入れ、ガーゼを巻き付けた向きにロッドを回しながら管内の水分を取り除きます。
※頭部管の奥は水分を取り残してしまいやすく、音色が悪くなったり、サビつきに繋がります。
反対側の穴から覗いて、水滴が残っていないか、必ず確認してください。
上の画像の左側は頭部管を覗き込んだイメージです。2本の赤い線の間に水滴が残っているのがお分かりいただけますでしょうか?
このまま置いておくと、写真右のように錆びてしまいます。
頭部管の中はどうなっている?
クリーニングロッドの線の役割をお伝えする前にフルートの頭部管の構造からご紹介します。
フルートの頭部管は片方が塞がれた、ただの筒ではございません。
分解してみると、ヘッドキャップと呼ばれる蓋や、ワインコルクのような円柱形のコルク、ワッシャー、そして金属の平たい円盤が付いています。
この円盤は反射板と呼ばれ、汚れや位置ずれがあると音程や音色を左右してしまうような大切なパーツです。
(頭部管を覗いたときに見える壁はこの部分です!)
線の役割とは?
テーマである、クリーニングロッドに刻まれた線についてですが、
こちらを頭部管の奥のまで挿し込むと、息を吹き込む穴から線が見えます。
この線は「反射板が設計通りの位置にあるか」を確認するために使います!
奥の壁に当てた状態で、線が中央に来ていれば、反射板の位置は正常。
左右どちらかにずれてしまっていれば、調整の必要がある状態です。
反射板の位置はメーカーごとに決まっています(YAMAHAさんは「反射板から唄口の中央までが17mm」と公表されています)。
メーカーで設定された反射板の位置に合わせてクリーニングロッドの線が刻まれておりますので、
楽器に合ったクリーニングロッドで位置を確認してください。
中には線が3本あるものもありますが、中央の線で位置を確認してください。
なぜずれる?ずれるとどうなる?
反射板の位置を確認する必要があるのは、ずれてしまうから。
では、購入したときに正しい位置であったはずの反射板が動いてしまうのはどうしてなのでしょう?
答えは反射板を固定しているコルクが劣化し、縮んでしまうからです。
頭部管の中でつっぱっていたコルクが縮むことで、反射板が動きやすくなり、お手入れ中にクリーニングロッドで押し込んでしまったり、ヘッドキャップを回してしまったり…ふとした拍子に動かしてしまうのです。
番外編
こちらは、先日お売りいただいたフルートについていたNIKKANのクリーニングロッドです。
プラスチック製はよくあるけど、場所によって色が違うのは初めて見るな…と思いながら触っていると、ネジが切ってありました。
そのままクルクル回すと、マイナスドライバーが出てきました!珍しい!
いつ頃作られたものなのでしょう?
今はフルートにドライバーが付属していることはあまりありませんが、当時はどのような思いでこの仕様にしたのでしょう?
わからないことだらけですが、古い(50年以上前?)ものであることは間違いありません。
製造の経緯や今に至るまでの使用歴に、つい思いを馳せてしまいました。
おわりに
そういえば最近音程が悪い気がする…というときは一度反射板の位置を疑ってみてください。
正常な位置でないことが分かった場合は、専門店で調整をご依頼いただくことをおすすめします。
クリーニングロッドの線の役割をご存知なかった方や、そもそも線があったなんて知らなかったという方のお役に立てれば幸いです。
「他にもこんなことが知りたい!」などご意見、ご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
当店では、
- フルート/ピッコロ
- オーボエ
- クラリネット
- サックス
- トランペット/コルネット
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- ユーフォニアム
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といった管楽器やその周辺の商品も広く取り扱っております。
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