木管楽器奏者も意外と知らない? タンポの正体

タンポの役割と種類、ご存知ですか?

2024年07月17日

木管楽器に携わったことのある方は、「タンポ」という言葉を一度は耳にしたことがありますよね。

クラリネットにもフルートにも、サックスにも…
当店で取り扱っている木管楽器にはすべてタンポが付いています。

タンポとは一体どういうものなのでしょう?

タンポって?

現在の木管楽器には金属のパーツがたくさん付いていますが、昔はリコーダーのように細い管に穴が空いただけのシンプルなものでした。

穴を増やせば増やすだけ演奏できる音程の数は増えますが、指は10本しかありません(すくなくとも1本は楽器を支えるために使わなくてはいけません)。
それを解決するため、現在のような「キィシステム」という金属のからくりが発明されました。ヒトの指の腹のように穴をぴったりとふさぐために、金属製のキィの先端には「タンポ」または「パッド」と呼ばれるクッションがつけられています。

タンポは動物性のかわと3mm前後のフェルト、紙から成っています。
このかわの撥水性で楽器の内側に発生する水蒸気からフェルトを守っています。

タンポの種類

  • コルクタンポ
    1番右にあるがこちらのタンポです。オーボエのキィやクラリネットの左親指の穴の上にあるキィ、サックスのネックに取り付けられたキィに採用されております。コルクは弾力があり、音の立ち上がりが良いという長所がございます。一方、以下のタンポのように撥水性はないので、水分を含みすぎると穴を塞げなくなってしまうという欠点もございます。
  • 革タンポ
    左の2つがこちらのタイプです。サックスやバスクラリネット、ファゴットなどのキィに採用されております。羊・豚・牛・カンガルーなどの動物のレザーでフェルトを包んで作られております。写真のタンポは中央にレゾネーター(resonator:共鳴器)またはブースター(booster:増幅器)と呼ばれるパーツがついています。左がプラスチック製レゾネーター、右が金属製レゾネーターで、この材質によっても音色が異なります。
  • ブラダー(bladder:浮き袋)タンポ・フィッシュスキンタンポ
    中央と右から2番目にあるのがこちらのタンポです。クラリネットやフルートのキィに採用されております。その名の通り元々は魚の浮き袋でフェルトを包んで作られておりましたが、現在は浮き袋の代わりに羊や豚などの腸の皮が採用されております。

古いタンポ

指の代わりに音孔を塞いでくれるタンポは、弾力性と気密性が要です(リコーダーを演奏するときに小指で穴を塞ぎきれずに、低いドの音が出なかった経験はございませんか?)。
そのため、古くなって固くなってしまったタンポでは音程をとれなかったり、汚れてしまったタンポは音色や吹奏感に悪影響を及ぼすので、交換する必要があります。また、タンポは柔らかいので、その楽器のオーナーの方にとっては演奏上問題ない形に変形していても、別の人がそれを吹くと吹きにくく感じてしまう…ということも起きてしまいます。
下の画像の緑色の輪は汚れです。これだけ汚れがあると音色が変わるのも納得していただけるのではないでしょうか?

おわりに

いかがでしょうか?タンポについての疑問が少しでも解消されれば幸いです!
当店で買い取らせていただいた楽器のほとんどは専門のスタッフが修理、調整をおこなった上で販売しております。お持ちの楽器にタンポ交換の必要があっても、お気軽にお問い合わせください。

他にもこんなことが知りたい!などご意見、ご質問がございましたら、お気軽にお寄せいただければと思います。

当店では、

  • フルート/ピッコロ
  • オーボエ/ファゴット
  • クラリネット
  • サックス
  • トランペット/コルネット
  • ホルン
  • ユーフォニアム
  • トロンボーン
  • マウスピース/リガチャー
    といった管楽器やその周辺の商品も広く取り扱っております。
    買取・販売どちらでもお気軽にご相談ください!
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